目次: Linux
RISC CPUにはワード幅での読み書きしかできないアーキテクチャがありますが、より狭いハーフワードやバイトへのアクセスってどうしているのでしょう?
単純に考えると、ひとまず近しいアドレスからワード幅で読み出して、しかるべきシフト演算を行うことで、目的のハーフワードやバイトデータを得ていそうです。
例えば、ワード幅64bits、読みたいデータ幅16bits、アクセス先のアドレスが0x12として考えてみます。
まず、データバスにはアドレス0x12ではアクセスできませんので、ひとまず0x12を超えない最大の8の倍数(64bits = 8bytes)であるアドレス0x10から64bitsを読み出します。
このときバスから読み出したデータが0x1234_5678_0246_8aceだとして、バスから読み出したデータを読みたいデータ幅(= 16bits)ごとに分割し、符号ビットから近い順から並べると、
0x1234:
0x5678:
0x0246:
0x8ace:
となります。
リトルエンディアンシステムの場合、データの上位から、アドレス+6、アドレス+4、アドレス+2、アドレスそのもの、に対応しますので、
0x1234: アドレス+6 = 0x16
0x5678: アドレス+4 = 0x14
0x0246: アドレス+2 = 0x12
0x8ace: アドレスそのもの = 0x10
と対応します。
従って目的のアドレス0x12にあるデータは0x0246であることがわかり、バスから読み出したデータをシフトすべき量は16bitsであることがわかります。
同様にアドレス0x14ならばデータは0x5678となり、シフトすべき量は32bitsです。
このような処理をいちいち考えていると面倒で死にそうなので、コードで書いてみることにしました。
public static long ADDR_MASK_64 = ~0x7L;
public static long ADDR_MASK_32 = ~0x3L;
public static long ADDR_MASK_16 = ~0x1L;
public static long ADDR_MASK_8 = ~0x0L;
/**
* @param dataLenデータ幅
* @returnアドレスマスク
*/
public long getAddressMask(int dataLen) {
switch (dataLen) {
case 64:
return ADDR_MASK_64;
case 32:
return ADDR_MASK_32;
case 16:
return ADDR_MASK_16;
case 8:
return ADDR_MASK_8;
default:
throw new IllegalArgumentException("Data length" +
String.format("(0x%08x) is not supported.", dataLen));
}
}
/*
* @param addr データのアドレス
* @param data バスから読んだデータ
* @param busLen データバス幅
* @param dataLen データ幅
* @return addrにあるデータ
*/
public long readMasked(long addr, long data, int busLen, int dataLen) {
long busMask = getAddressMask(busLen);
long dataMask = getAddressMask(dataLen);
int sh = (int)(addr & ~busMask & dataMask) * 8;
return data >> sh;
}
ふっざけんなー!意味がわからんわー!!と叫んでいる半年後の自分が見えたので、併せて解説も書いておきます。
バスから読み出したデータをシフトする量を求める部分がaddr & ~busMask & dataMask * 8の部分です。
まずaddr & ~busMaskですが、バス幅で割った余りのアドレスを求めています。
例えば、幅が64bitsでアドレスが0x12ならば、8で割った余りのアドレス0x02を求めています。
次にaddr & ~busMask & dataMaskですが、データ幅境界にアドレスを揃えています。この意味と必要性の議論は後述します。
例えばデータ幅が16bitsならば、アドレスを2の倍数にします。アドレス0x01なら0x00、アドレス0x02なら0x02、アドレス0x03なら0x02です。
残りの処理はアドレスに8を掛けて右ビットシフトしています。関数の返値は上位に余計なデータが残っていますので、返り値を受け取った人は、余計な上位のデータを捨てる必要があります。
呼び出す側のコードは、こんな感じです。
//データバス幅
public static int BITS_DATA_BUS = 64;
public byte read8(long addr) {
return (byte)readMasked(addr, readWord(addr), BITS_DATA_BUS, 8);
}
public short read16(long addr) {
return (short)readMasked(addr, readWord(addr), BITS_DATA_BUS, 16);
}
public int read32(long addr) {
return (int)readMasked(addr, readWord(addr), BITS_DATA_BUS, 32);
}
他のアドレスが渡される場合も同様です。
他のバス幅、他のビット幅でも同じ考え方で処理可能です。
データ幅境界以外からデータを読んで良い、つまり0x13から読んだときに0x0246ではなくて、0x7802を返せるシステムならば、& dataMaskは不要です。
この方が便利ですが良いことばかりでもなく、バス幅をまたぐ際の読み出し、例えば0x17から16bits読む際の処理が必要になります。
しかし前述のコードではバス幅の境界をまたぐ読み出し方に対応できませんから、データ幅境界以外からデータを読めないようにして、異常動作しないように防いでいます。
< | 2014 | > | ||||
<< | < | 06 | > | >> | ||
日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 |
8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 |
15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 |
22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 |
29 | 30 | - | - | - | - | - |
合計:
本日:
管理者: Katsuhiro Suzuki(katsuhiro( a t )katsuster.net)
This is Simple Diary 1.0
Copyright(C) Katsuhiro Suzuki 2006-2023.
Powered by PHP 8.2.20.
using GD 2.3.3(png support.)