目次: ALSA
ALSAのライブラリalsa-lib(Gitリポジトリ)のミキシングプラグインdmixのバグらしきものを見つけたのでメモ書きを残しておきます。
簡単に言えばdmixプラグインのミキシング音声に激しいノイズが載ります。発生条件はわかっている限りで、下記の通りです。
現象は条件を満たせば必ず発生するようです。
バージョンは1.0.27.2(2013年7月8日リリース)で発生しますが、おそらくその前、後のバージョンでも発生します。
詳細は後述しますが、原因となる箇所を見る限りGitリポジトリのHEADでも特に解決されている様子はありません。調べたリビジョンへのリンク。
おそらくですが、CPUのエンディアンと異なるエンディアンのLPCMをミキシングするための汎用関数generic_mix_areas_32_swap() が、符号の扱いを間違っているためです。
問題の箇所は下記の通りです。ソースファイル名はalsa-lib/src/pcm/pcm_dmix_generic.cです。
snd_pcm_mmap_writei()
snd_pcm_write_areas()
func = snd_pcm_mmap_write_areas()
snd_pcm_mmap_commit()
pcm->fast_ops->mmap_commit() = snd_pcm_dmix_mmap_commit()
snd_pcm_dmix_mmap_commit()
snd_pcm_dmix_sync_area()
mix_areas()
generic_mix_areas_32_swap() //★★これ★★
(関数ポインタの設定箇所など)
generic_mix_select_callbacks()
dmix->u.dmix.mix_areas_32 = generic_mix_areas_32_swap()
このgeneric_mix_areas_32_swap() 関数の4行目にある、
sample = bswap_32(*src) >> 8;
が、おそらく意図と異なる結果を招いています。
意図する処理は1/256のスケーリングだと思いますので、
sample = (signed int)bswap_32(*src) >> 8;
が正しいと思われます。
何がまずいかというとbswap_32() の返り値の型がunsigned intのため、右シフト(>> 8)が符号を無視してシフトしてしまうことです。
何故まずいか?というとbswap_32() が(符号付きの値としてみたとき)負の値を返したときに、意図せず結果が正の値になってしまい、音が変わってしまう、という問題を招くからです。
例を出した方がわかりやすいと思います。
例えば、bswap_32() が0xffffec78を返したとします。これは符号付きの値としてみると負の値 -5000です。
本来の右8ビットシフトの期待値は上位ビットを1で埋めた -20(0xffffffec)を得ることだと思われます。しかし、現在のalsa-libのコードだと上位ビットを0で埋めてしまうため、結果が16777196(0x00ffffec)と全く違う値になり、ノイズの発生源となってしまいます。
< | 2014 | > | ||||
<< | < | 07 | > | >> | ||
日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
- | - | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 |
20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 |
27 | 28 | 29 | 30 | 31 | - | - |
合計:
本日: