目次: Linux
ARMのldm命令には変わった機能が付いています。レジスタリストの後ろに付ける ^ なのですが、実は ^ には意味が2通りあります。そのためアセンブラで記述するときすこぶるわかりづらくなっています。
具体例を挙げると、下記の2つのldm命令は、同じようなレジスタリストを指定していて、同じような ^ が付いていますが、命令の意味は全く違います。
ldmdb sp, {r0, r1, r2, pc}^
ldmdb sp, {r0, r1, r2, lr}^
1つ目のldm命令は、sp - 16の指すアドレスからr0, r1, r2, pcにデータをロードして、cpsrレジスタに現在の動作モードのspsrレジスタをコピーせよ、という意味になります。
2つ目ldm命令は、sp - 16の指すアドレスから「ユーザモードの」r0, r1, r2, lrにデータをロードせよ、という意味になります。
何?意味がわからない?恐らく誰でもそうでしょう。私も最初に見たとき意味がわからなくて、目が点になりました。
なぜこんなことになるかというと、ARMのldm命令の ^ の意味が、レジスタリストに依存して変わるからです。具体的に言えば、
レジスタリストにpcレジスタが入っていたら、
「pcをロードするldm命令で、カレントモードのspsrをcpsrにコピーすることを示す」
レジスタリストにpcレジスタが入っていなかったら、
「pcをロードしないldm命令で、ユーザモードレジスタをロードすることを示す」
のようにARMの仕様で定義されているからです。
なんだその仕様は!と思われるでしょうが、この機能は、一般的なプログラムでは全く使われません。使われるのは、割り込みハンドラからの復帰、もしくは特権モードが絡む部分くらいで、いずれもOSの内部です。
そのためARMの初学者が使う可能性はほぼありません。いわゆる「わかってる」人しか使わない通の機能です。
少数のわかっている人しか使わないので、多少可読性が低くてもあまり問題が出ないのでしょう。たぶん。
と、擁護した直後に言うのは憚られますが、正直なところそこまで ^ を酷使せず、せめてどちらかを ^ じゃない別の記号にすれば良かったのにと思わんでもないです。いきなり変えたら大混乱が起きるので、今さらどうしようもありませんけど。
仕様を切るとき、特に将来も下位互換性が求められそうな仕様、オープンな仕様では、記号の一文字取っても、細心の注意が必要だよなーと、強く感じた一件でした。
< | 2014 | > | ||||
<< | < | 08 | > | >> | ||
日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
- | - | - | - | - | 1 | 2 |
3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 |
17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 |
24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |
31 | - | - | - | - | - | - |
合計:
本日:
管理者: Katsuhiro Suzuki(katsuhiro( a t )katsuster.net)
This is Simple Diary 1.0
Copyright(C) Katsuhiro Suzuki 2006-2023.
Powered by PHP 8.2.20.
using GD 2.3.3(png support.)