ARMアーキテクチャを表すときARMv5Tがあって、ARMv6Tがないのはなぜでしょう?
ARMv5TのTの部分は「バリアント」と呼ばれ、TバリアントであればTHUMB命令セットに対応したARMアーキテクチャである、ことを示します。他にもエンハンストDSP命令のEとか、Jazzele命令のJがあります。
ARMv5まではTHUMB命令セットへの対応はオプションでした。このため、ARMv5世代のARMアーキテクチャはTHUMB非対応のARMv5とTHUMB対応のARMv5Tの2種類が存在し得ました。実際にTHUMB未対応のARMv5プロセッサを作った会社があるか、まではわかりませんが。そういうプロセッサを「作っても良い」ことにはなっていました。
例えば、携帯でよく使われていたARM926EJ-SプロセッサのアーキテクチャはARMv5TEJ、つまりTHUMBとエンハンストDSPとJazzeleに対応したアーキテクチャ、という意味です。
しかしARMv6からはTHUMB対応が必須となり、THUMBの有り/無しを区別する必要がなくなり、名前もARMv6のみとなりました。ARMv6はTHUMB命令セットに対応していてもARMv6Tとは呼びません。対応している機能を全部並べ始めると、冗長になるためでしょう、たぶん。
なお、エンハンストDSP命令もv6でARM命令セットに取り込まれたため、Tと同時にEバリアントも消滅しています。
さらに、最近のARMv7アーキテクチャでは、バリアントの考えが変わったようで、ARMv7の後ろに対応機能を意味するアルファベットは付かなくなりました。
種類もARMv7-AとARMv7-RとARMv7-Mの3つです。それぞれ「アプリケーション」「リアルタイム」「マイクロコントローラ」プロファイルの意味だそうです。対応する機能は下記の通り。
アーキテクチャが対応する命令セットの規模順に並べたとき、ARMとなるところもまたニクいですね。イギリス人はこういうシャレが好きなのでしょうか?
これ以上の詳細情報はARMのサイト(ARMのサイトへのリンクを張っておきます)をご覧ください。
余談ですが、ARM命令セットやTHUMB命令セットにもバージョンがあります。下記の通りです。
バージョンは1:1に対応しており、異なる世代を組み合わせること、たとえばARMv6とTHUMBv2を組み合わせることはできません。
メモ: 技術系?の話はFacebookから転記しておくことにした。なおARMv7の節は8/25に加筆。
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