目次: Linux
昨日(2015年3月5日の日記参照)に引き続き、何となく自分ではわかっているつもりでしたが、いざ変更しようとしたら全然わかっていなかったSysV initの話です。
まずはSysV initの動きのおさらいから。
前提: ディストリビューションはDebian GNU/Linux 7.8(Wheezy) 1. Linux Kernel起動終盤にkernel_init() が /sbin/initを起動 2. /sbin/initは /etc/inittabを見る 3. /etc/inittabにはinitへの指示が書いてある 3-1. デフォルトのrunlevelは2である 3-2. ブート時に /etc/init.d/rcSを実行せよ 3-2-1. /etc/init.d/rcSは /etc/init.d/rc Sを起動する 3-3. runlevel 2なら /etc/init.d/rc 2を実行せよ ↑↑↑↑↑ 以上、おさらい1の部分 ↑↑↑↑↑ 4. 下記がいずれか一つでも成立すればCONCURRENCY=none成立しなければCONCURRENCY=makefile - /etc/init.d/.depend.bootが存在しないか、空ファイル - /etc/init.d/.depend.startが存在しないか、空ファイル - /etc/init.d/.depend.stopが存在しないか、空ファイル - /etc/init.d/.legacy-bootorderingが存在する - startpar -vコマンドが失敗する 5. /etc/rcXXXX.d/S* をアルファベット順に実行 CONCURRENCY=noneならば、単に実行するだけ、 CONCURRENCY=makefileならば、startparに起動を任せる
さて、お忘れの方も多いかと思いますが、本題は「initの処理に何か足したい」でした。
もしCONCURRENCY=noneつまり直列版のinitを使っている場合、initに何か足す方法は非常に簡単です。今まで見てきたように、/etc/rcS.d以下にスクリプトファイルを足せば、/etc/init.d/rcSが実行してくれます。
しかしCONCURRENCY=makefileつまり並列版のinitを使っている場合、/etc/rcS.d以下にスクリプトファイルを足すだけでは実行されません。なぜかというとstartparというコマンドが一枚噛んでいるためです。
このstartparというコマンドには2つのモードがあります。
NAME startpar - start runlevel scripts in parallel SYNOPSIS startpar [-p par] [-i iorate] [-t timeout] [-T global_timeout] [-a arg] prg1 prg2 ... ★1 startpar [-p par] [-i iorate] [-t timeout] [-T global_timeout] -M [ boot|start|stop] ★2
一つは ★1側の、渡された引数を実行するCONCURRENCY=noneに近い動作をするモード(引数に -Mを指定しない)です。
もう一つは ★2側の、別の設定ファイルからスクリプトの依存関係を得て、出来る限り並列に実行する(引数に -Mを指定する)モードです。
さて /etc/init.d/rcでは、startparの2つモードのうち、どちらが使われていたでしょうか?覚えている人はスゴい暗記力です。私も含めて忘れてしまった方のために、もう一度コードを見ます。
#
# Start script or program.
#
case "$CONCURRENCY" in
makefile|startpar|shell) # startpar and shell are obsolete
CONCURRENCY=makefile
log_action_msg "Using makefile-style concurrent boot in runlevel
$runlevel"
startup() {
eval "$(startpar -p 4 -t 20 -T 3 -M $1 -P $previous -R $
runlevel)" ★1
簡単ですね。別の設定ファイルを見る(-Mを指定する)モードです。しかもよく見るとstartup() に渡されているスクリプト名($2以降の引数)は無視されています。だから /etc/rcS.d/ にスクリプトを足すだけでは、実行されなかったのです。
ではstartparに何か処理を追加するには、何をどうしたら良いのか?と言う話です。こういうときはまずstartparのマニュアルを見てみます。
The -M option switches startpar into a make(1) like behaviour. This option takes three different arguments: boot, start, and stop for read- ing .depend.boot or .depend.start or .depend.stop respectively in the★1 directory /etc/init.d/. By scanning the boot and runlevel directories in /etc/init.d/ it then executes the appropriate scripts in parallel. FILES /etc/init.d/.depend.boot /etc/init.d/.depend.start /etc/init.d/.depend.stop SEE ALSO init(8) insserv(8). ★2
★1の説明を見るに、-Mはboot, start, stopのうちどれか1つ引数を取って、実際の動作は .depend.boot or .depend.start or .depend.stopで決まりますよ、というようなことが書いてあります。親切なことにFILESの章にファイルのフルパスまで書いてくれています。
これら3つの .depend.XXXXファイルを更新すれば良い、ということがわかりましたが、どうやって更新するのかが書いていなくて困ってしまいます。とりあえず★2のSEE ALSOの章にあるinsservという奴が新顔で怪しいので、マニュアルを見ます。
INSSERV(8) INSSERV(8) NAME insserv - boot sequence organizer using LSB init.d script dependency information (...略...) FILES /etc/insserv.conf configuration file for insserv which defines the LSB System Facilities. (...略...) /etc/init.d/.depend.boot, /etc/init.d/.depend.start, /etc/init.d/.depend.stop The make(1) like dependency files produced by insserv for boot‐ ing, starting, and stopping with the help of startpar(8). ★1
コマンドの説明はちょっと抽象的でわかりづらいですが、FILESの ★1の部分を見る限り、探し求めていた物に間違いないでしょう。
1. /etc/rcS.d/ にS20script.shのような名前のスクリプトを追加する 2. startpar -Mを使っている場合は、insservを実行して設定ファイルを更新する
まとめてしまえば短いものですが、これもinitの仕組みの一端だと思うと、中々に感慨深いもんがありますね。
昨日の飲み会でファミコンのCPUがZ80だって大嘘ついてしまった……。
正解はMOS 6502(の互換CPU、リコー製)です。
覚えていたら月曜に訂正しておこう。
メモ: 技術系の話はFacebookから転記しておくことにした。
目次: 自宅サーバー
GPSのレシーバーモジュールを買いました。Globalsat BU-353S4というUSB接続の製品で、Amazonで5,000円くらいです。
買った理由ですが、別に家の位置を知りたかったわけではなく、NTPサーバのクロック源にしてみたいと思ったからです。
NTPというのはPCやサーバの時刻を合わせるためのプロトコル(Network Time Protocol)のことです。NTPサーバとはNTPを使った時刻合わせの機能を提供するサーバのことです。
普通の人は公開されているNTPサーバを使うので、自分でNTPサーバは立てませんが、マシンがたくさんあるような場所(会社、学校など)では、全員が一気に公開NTPサーバにアクセスすると、NTPサーバの持ち主に迷惑(サーバがダウンしたり、回線が埋まって動作不能になる)になります。
自分マシン1 <-- 同期 --+--> 自分NTPサーバ <-- 同期 --> 公開NTPサーバ 自分マシン2 <-- 同期 --+ ... | 自分マシンn <-- 同期 --'
公開NTPサーバと同期させたネットワーク内の1台のみを自分NTPサーバとして、他のマシンは自分NTPサーバと同期させることで、公開NTPサーバに掛かる負荷を軽減させます。
ここでふと疑問に思ったのが、公開NTPサーバが無かったら、自分NTPサーバはどうやって正しい時間を取ったら良いの?ということです。
調べてみるとNTPサーバは様々な時計から、時刻を取得できる(NTPのクロックドライバのドキュメント)ようです。良くできてます。
その中でもGPSが割と接続も、設定も簡単そうだったので、試してみることにしました。
買ってきたGPSモジュールをLinuxマシンに繋ぐと下記のようなメッセージが出ます。どうやらGPSモジュールはPCから見ると単なるシリアルポート /dev/ttyUSB0として扱われている(★1)ようです。
usb 4-2: new full-speed USB device number 2 using uhci_hcd pl2303 4-2:1.0: pl2303 converter detected usb 4-2: pl2303 converter now attached to ttyUSB0★1 usb 4-1: new full-speed USB device number 3 using uhci_hcd
シリアルポートに入力されてくる文字列を見ても意味不明なのでgpsdというソフトに意味を理解して貰います。gpsdを起動する前に、設定ファイルへ先ほどカーネルログに出ていたシリアルポートを指定します(★2)。
Debianでは /etc/defaultというディレクトリの下に設定ファイルが集まっていて、gpsdの設定ファイルもそのディレクトリにあります。
# Default settings for gpsd.
# Please do not edit this file directly - use `dpkg-reconfigure gpsd' to
# change the options.
START_DAEMON="true"
GPSD_OPTIONS=""
DEVICES="/dev/ttyUSB0" ★2
USBAUTO="true"
GPSD_SOCKET="/var/run/gpsd.sock"
設定が終わったら /etc/init.d/gpsd startとしてgpsdを起動します。何もメッセージが出なくて不安になる方は、ps ax | grep gpsdとして、起動しているかどうか見ると安心できると思います。
さらに、衛星との通信状況などグラフィカルに表示してくれるxgpsというナイスなソフトをインストールし、起動してみます。
apt-get install gpsd-clients
xgps
画面イメージは下記のようになりますが、室内かつ部屋の前には廊下があるせいか、ほとんどGPS信号を受信できていません……。
残るはNTPサーバの設定ですが、続きはまた今度。
Publickey - HTML5 CanvasにJavaScriptでリアルタイムに動画を描画。透過レイヤで動画の重ね合わせなど、新たな表現が可能なPC/モバイル対応コーデック「H2MD」を読んで。
重ねることを前提とした新しい動画コーデックH2MDの紹介記事。
圧縮率がーとか、画質がーとか、そういう誰でも思いつく(※)勝負に行かないところが、さすがアクセル……。
※誰もが考えてくるから競争が激しくコストがかかるうえ、従来の倍とか、そんなレベルで圧勝しない限り評価が曖昧で勝ち負けがよく分かりません。
メモ: 技術系の話はFacebookから転記しておくことにした。
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