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目次: OpenCL
最近OpenCLのオープンソース実装poclについて調べています。わかったことのメモです。
OpenCLはclGetDeviceIDs() を呼ぶときにデバイスの種類を指定します。KhronosのAPIドキュメント(clGetDeviceIDs(3) Manual Page)を見ると、デバイスの種類は4つ定義されています(DEFAULTとALLはデバイスの種類ではないので除外)。
これらのうちpoclがサポートしているのはCPUとGPUです。GPUはNVIDIAのCUDAとAMDのHSAに対応しているようです。全部LLVMがビルドしてくれるわけで、すごいよLLVMさん。ACCELERATORはテンプレート実装のみで、そのままでは動作しないので、注意が必要です。
CPU(pthread版)、GPU(CUDA版)、ACCELERATORを有効にしたpoclのビルド、インストール方法は下記のとおりです。実際に動かすときはACCELERATORを無効にしてください。でないと初期化時にエラーが発生して動かないです。
$ cmake -G Ninja \ -DCMAKE_INSTALL_PREFIX=`pwd`/_install \ -DENABLE_CUDA=ON \ -DENABLE_ACCEL_DEVICE=ON \ ../ $ ninja $ ninja install
基本的には必要なオプションがあればONにするだけですから、ビルドとインストールはそんなに難しくないはずです。
実行方法はややクセがあります。OpenCLは実装がたくさんあるので、直接OpenCLライブラリをリンクするのではなく、ICD Loaderと呼ばれるライブラリ(2020年7月14日の日記参照)を間に噛ませることが多いです。
ソースコードは Oak Ridge大学のサイトとほぼ同じです。行数を減らしたのと、OpenCL 2.2に合わせて使うAPIを一部変えている程度です。
#define CL_TARGET_OPENCL_VERSION 220
#include <stdio.h>
#include <stdlib.h>
#include <math.h>
#include <CL/opencl.h>
// OpenCL kernel. Each work item takes care of one element of c
const char *kernelSource = "" \
"#pragma OPENCL EXTENSION cl_khr_fp64 : enable \n" \
"__kernel void vecAdd(__global double *a, \n" \
" __global double *b, \n" \
" __global double *c, \n" \
" const unsigned int n) \n" \
"{ \n" \
" // Get our global thread ID \n" \
" int id = get_global_id(0); \n" \
" \n" \
" // Make sure we do not go out of bounds \n" \
" if (id < n) \n" \
" c[id] = a[id] + b[id]; \n" \
"} \n" \
"\n" ;
int main(int argc, char *argv[])
{
// Length of vectors
int n = 100000;
size_t bytes = n * sizeof(double);
cl_platform_id cpPlatform;
cl_device_id device_id;
cl_context context;
cl_command_queue queue;
cl_program program;
cl_kernel kernel;
// Device input/output buffers
cl_mem d_a, d_b;
cl_mem d_c;
// Allocate memory for each vector on host
double *h_a = (double *)malloc(bytes);
double *h_b = (double *)malloc(bytes);
double *h_c = (double *)malloc(bytes);
// Initialize vectors on host
for (int i = 0; i < n; i++) {
h_a[i] = sinf(i) * sinf(i);
h_b[i] = cosf(i) * cosf(i);
}
// Number of work items in each local work group
size_t localSize = 64;
// Number of total work items - localSize must be devisor
size_t globalSize = ceil(n / (float)localSize) * localSize;
cl_int err;
// Bind to platform
err = clGetPlatformIDs(1, &cpPlatform, NULL);
if (err != CL_SUCCESS) {
printf("%s:%d err:%d\n", __func__, __LINE__, err);
return 0;
}
// Get ID for the device
err = clGetDeviceIDs(cpPlatform, CL_DEVICE_TYPE_CPU, 1, &device_id, NULL);
if (err != CL_SUCCESS) {
printf("%s:%d err:%d\n", __func__, __LINE__, err);
return 0;
}
// Create a context
context = clCreateContext(0, 1, &device_id, NULL, NULL, &err);
if (err != CL_SUCCESS) {
printf("%s:%d err:%d\n", __func__, __LINE__, err);
return 0;
}
queue = clCreateCommandQueueWithProperties(context, device_id, 0, &err);
if (err != CL_SUCCESS) {
printf("%s:%d err:%d\n", __func__, __LINE__, err);
return 0;
}
// Create the compute program from the source buffer
program = clCreateProgramWithSource(context, 1,
(const char **)&kernelSource, NULL, &err);
if (err != CL_SUCCESS) {
printf("%s:%d err:%d\n", __func__, __LINE__, err);
return 0;
}
// Build the program executable
err = clBuildProgram(program, 0, NULL, NULL, NULL, NULL);
if (err != CL_SUCCESS) {
printf("%s:%d err:%d\n", __func__, __LINE__, err);
return 0;
}
// Create the compute kernel in the program we wish to run
kernel = clCreateKernel(program, "vecAdd", &err);
if (err != CL_SUCCESS) {
printf("%s:%d err:%d\n", __func__, __LINE__, err);
return 0;
}
// Create the input and output arrays in device memory for our calculation
d_a = clCreateBuffer(context, CL_MEM_READ_ONLY, bytes, NULL, NULL);
d_b = clCreateBuffer(context, CL_MEM_READ_ONLY, bytes, NULL, NULL);
d_c = clCreateBuffer(context, CL_MEM_WRITE_ONLY, bytes, NULL, NULL);
// Write our data set into the input array in device memory
err = clEnqueueWriteBuffer(queue, d_a, CL_TRUE, 0,
bytes, h_a, 0, NULL, NULL);
if (err != CL_SUCCESS) {
printf("%s:%d err:%d\n", __func__, __LINE__, err);
return 0;
}
err = clEnqueueWriteBuffer(queue, d_b, CL_TRUE, 0,
bytes, h_b, 0, NULL, NULL);
if (err != CL_SUCCESS) {
printf("%s:%d err:%d\n", __func__, __LINE__, err);
return 0;
}
// Set the arguments to our compute kernel
err = clSetKernelArg(kernel, 0, sizeof(cl_mem), &d_a);
if (err != CL_SUCCESS) {
printf("%s:%d err:%d\n", __func__, __LINE__, err);
return 0;
}
err = clSetKernelArg(kernel, 1, sizeof(cl_mem), &d_b);
if (err != CL_SUCCESS) {
printf("%s:%d err:%d\n", __func__, __LINE__, err);
return 0;
}
err = clSetKernelArg(kernel, 2, sizeof(cl_mem), &d_c);
if (err != CL_SUCCESS) {
printf("%s:%d err:%d\n", __func__, __LINE__, err);
return 0;
}
err = clSetKernelArg(kernel, 3, sizeof(unsigned int), &n);
if (err != CL_SUCCESS) {
printf("%s:%d err:%d\n", __func__, __LINE__, err);
return 0;
}
// Execute the kernel over the entire range of the data set
err = clEnqueueNDRangeKernel(queue, kernel, 1, NULL,
&globalSize, &localSize, 0, NULL, NULL);
if (err != CL_SUCCESS) {
printf("%s:%d err:%d\n", __func__, __LINE__, err);
return 0;
}
// Wait for the command queue to get serviced before reading back results
clFinish(queue);
// Read the results from the device
clEnqueueReadBuffer(queue, d_c, CL_TRUE, 0,
bytes, h_c, 0, NULL, NULL);
//Sum up vector c and print result divided by n, this should equal 1 within error
double sum = 0;
for (int i = 0; i < n; i++) {
sum += h_c[i];
}
printf("final result: %f\n", sum / n);
clReleaseMemObject(d_a);
clReleaseMemObject(d_b);
clReleaseMemObject(d_c);
clReleaseProgram(program);
clReleaseKernel(kernel);
clReleaseCommandQueue(queue);
clReleaseContext(context);
free(h_a);
free(h_b);
free(h_c);
return 0;
}
$ gcc a.c -g -O0 -Wall -lOpenCL -lm ★ICD Loaderにpoclのライブラリ名を教える必要がある $ cat /etc/OpenCL/vendors/pocl_test.icd libpocl.so.2.7.0 $ LD_LIBRARY_PATH=/path/to/pocl/build/_install/lib \ ./a.out final result: 1.000000
動作しました。良かった。
OpenCLのAPIはICD Loaderが提供し、OpenCLの実装は各ICDが提供します。呼び出し関係はApp → ICD Loader → ICDです(詳しくは 2020年7月14日の日記参照)。一見すると煩雑ですが、アプリケーションはICDのことは知らなくても良いのが利点です。今回の例でいえばアプリケーションはlibpocl.soをリンクせずとも、poclの実装を使うことができます。
これだけだと面白くないし、何が動いているかすらわからないので、デバッグ出力を全開にして観察します。POCL_DEBUG環境変数を使います。その他のデバッグ方法はPoCLのドキュメント(Debugging OpenCL applications with PoCL)が参考になります。
$ LD_LIBRARY_PATH=/path/to/pocl/build/_install/lib \ POCL_DEBUG=all \ ./a.out ** Final POCL_DEBUG flags: FFFFFFFFFFFFFFFF [2021-03-13 07:05:14.074169726]POCL: in fn pocl_init_devices at line 571: | GENERAL | Installing SIGFPE handler... [2021-03-13 07:05:14.128006157]POCL: in fn pocl_cuda_init at line 287: | GENERAL | [CUDA] GPU architecture = sm_61 [2021-03-13 07:05:14.128050269]POCL: in fn findLibDevice at line 560: | CUDA | looking for libdevice at '/usr/lib/nvvm/libdevice/libdevice.10.bc' ...
動作しました。よきかな。タイムスタンプの日付がかなりズレますね……?ま、実害はないし良いか。
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艦これが流行ったあとくらいでしたか、Googleで「赤城」を検索すると空母やプラモデルの写真ではなく、艦これの絵がたくさん出てきて空母が出てこなくなりました。
ところが最近(?)Google検索結果の傾向が変わったとTwitterで見たので、試してみました。少なくとも「赤城」は空母が出てくるようになっています。
検索結果が擬人化キャラで埋め尽くされようと、世の中のトレンドの一部ですし間違いとはいえません。Googleはそんなこと気にしないのかと思っていましたが、あえて変えたってことは、内心ダメだこりゃって思ってたんですかね……?
赤城だけ特別扱いか?全部擬人化を排除したか?どちらか気になったので、試しに歴代空母をGoogle画像検索で探して、擬人化率を調べました。結構違っていて面白いです。
以下はカウントに使った検索結果のキャプチャ画像です。
赤城だけ特異的に擬人化の絵の結果が少ないです。何か限られた対象だけ特殊処理が働いているとかですかね?
検索結果を見たら一目瞭然なんですが、擬人化絵と空母というか艦船の画像のアスペクト比が明らかに違います。
このような傾向があって1画面の表示結果が多い=艦これ優勢、とわかります。その他にも、
ヒストグラムも割と特徴的です。この件に限ってはあまり難しいことを考えなくても、アスペクト比1:1を境界にして、色の特徴を見たら擬人化画像を分離できるなあなんてことを思いました。手元で分類するくらいなら十分ではないでしょうか。
ハックしようと思えばいくらでもできちゃうんで、検索エンジンの結果としてはダメですけど。
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目次: Raspberry Pi
その1 - 波形観察(2021年5月2日の日記参照)でRaspberry Pi 3では高い音が出ない現象が発生していました。この原因について調べたメモです。結論だけ言えば、PWMのハード的には出せるはず、でも根本原因はわかりませんでした。
RasPi 3のHW PWMは出力Duty比を約20usごとにしか変更できないようです。確認方法は下記のようにしました。
これにより最速でPWM Duty比を変更することができます。下記は設定例です。
3f20c000 00002121 00000032 00000303 70776d30 3f20c010 00000800 00000000 70776d30 70776d30 3f20c020 00000800 00000800 70776d30 70776d30
Duty比は何でも良いですけど、0%100%が一番波形が見やすいと思います。この設定例で言えば0x000, 0x000と0x800, 0x800を交互に書きます。

最高速度でPWMのDuty比を切り替えたときの波形(黄色1chオーディオ出力、水色2ch PWM出力)
上記操作をしたときのPWMの波形を見ると約20usに一度しか波形が変わっていません。従ってRasPi 3のオーディオ出力は25kHz程度が上限です。
なぜ20usに一度しか変更できないか気になりますが、BCM2835の仕様書には一切記載がありません。試行錯誤してみた結果、clk_pwm_domainのクロック周波数を早くすると変更間隔も速くなるみたいです。
PWMのクロック設定はPWMCTL(アドレス3f1010a0)とPWMDIV(3f1010a4)にあるようです。これも仕様書には載っていませんので、Linuxのクロックドライバdrivers/clk/bcm/clk-bcm2835.cから読み取るしかありません。イマイチな仕様書ですね……。
3f1010a0 00000096 00005000 00000200 00000000 3f1010b0 00000000 00000000 0000636d 0000636d
クロックドライバの実装をみるに、CTLレジスタのビット0〜3がクロック源です。6なのでクロック源にPLLD_COREが選択されているようです。ビット9が分周するかどうかの設定です。上記の設定だと有効でも無効でもクロックの速度が変わりませんでした。デフォルトが5分周なのか?どこかでデフォルトの分周比を設定しているのか?どちらなのかは良くわかりません。
DIVレジスタは分周比を表すようです。仕様がイマイチわかりませんが固定小数点のようで、上位ビットが整数部分、下位12ビットが小数点以下を表しているようです。上記の設定だと5分周を意味しているはず。

最高速度でPWMのDuty比を切り替えたときの波形(黄色1chオーディオ出力、水色2ch PWM出力)分周比設定0x4000
分周比を0x4000に変更するとDuty比の変更速度も5/4倍になって、16us間隔になるので、上位ビットが整数部分であることはほぼ間違いなさそうです。ちなみにクロック制御部のレジスタを変更する際は、上位16ビットに0x5a00をORしてwrite しないといけません。
クロック源の周波数をdebugfsから確認すると500MHzみたいです。5分周だから100MHz駆動でしょうか?
# cat /sys/kernel/debug/clk/plld_core/clk_rate 500000006
チャネル数は2ch、FIFO幅は32bitですから、100MHz / 2 / 32 = 1.5625MHzつまり0.64us間隔ならまだわかるんですが、どうしてその30倍もある20us間隔になるんでしょう。さっぱりです。
PWMの能力的にはギリギリ24kHzも再生できるはずですが、以前示したように通常のオーディオ出力経路(CPU → GPU → DMA → PWMの経路と思われる)を使うと、24kHzが再生できません。24kHzどころかfs = 32kHzでの16kHzでさえ再生不可能です。
PWM以外に、例えばGPU側で何かPCMデータを弄っているなど、高音を再生する際の制約があるのかもしれません。
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目次: Raspberry Pi
Raspberry Piは何も苦労せず動くので最高に便利ですけど、今回みたいにハードを直叩きしたいケースや、もう少し発展させてカーネルやドライバ開発用に使うことを考えると最高とは言えないですね。ちょっとボードとSoCの仕様がわかりにくいです。
ボードの仕様についてはSchematicsは公開されているものの、コネクタ近辺しか記述がなくGPIOピンと信号名の関係がわかりません。SoC(BCM283x)の仕様は歯抜け(Broadcomが一般人に見せたくない部分を削っている?)で意味不明な点がチラホラあります。
ちょっとイマイチ感はあるもののBroadcom並の情報公開をしてくれるのは、ありがたいことです。他のベンダーですとAllWinner, Amlogic, Rockchip辺りはセットトップボックス(STB)向けSoCの仕様を公開しています。非常にありがたいです。
仕様がオープンなだけあって、シングルボードコンピュータ(SBC)ではほぼこの3社のSoCが採用されます。あとはSamsungが採用されるくらいかな?
我らが日本ベンダーはSoCの情報をほぼ公開しません。SBCに日本のSoCが採用されることもほとんどありません。一般開発者が日本のSoCに触れる機会はあまりないです。仕様書がないのか、仕様公開するメリットを感じないのか、SBCのような小規模顧客を相手する余裕がないのか……、真相は知りませんけどちょっと残念ですね。
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目次: Raspberry Pi
Raspberry Pi 3 model B rev 1.2のSchematicsが間違っていて、ハイパスフィルタ側のコンデンサが47uFではなく4.7uFが実装されていると仮定すると、シミュレーションと実測の辻褄が割と合うことに気づきました。4.7uFでシミュレーションするとAC特性はこのような感じになります。拡大図も載せておきます。

Audio Out回路のAC特性(コンデンサ容量4.7uF)

Audio Out回路のAC特性(4.7uF、縦軸方向に拡大)
もしRaspberry Pi 3のAudio Out回路のコンデンサ容量が4.7uFだとすると、30Hz Sin波と100Hz Sin波にゲインの差が生じるはずです。グラフを見た限り30Hzだと約1.2〜1.3dB程度カットされてしまうはずです。
Sound Blasterで30Hzと100HzのSin波を同時に鳴らした出力の周波数スペクトルを見ると、30Hzと100Hzにゲインの差はほとんどないです。

Sound Blaster X-Fi Go! Proにて30Hz, 100Hz同時再生時の周波数スペクトル
Raspberry Pi 3で30Hzと100HzのSin波を同時に鳴らすと、30Hz, 100Hz同時再生時の周波数スペクトル30Hzと100Hzにゲイン1.2dBほどの差が生じています。

RasPi 3にて30Hz, 100Hz同時再生時の周波数スペクトル
RasPi 3で30HzのSin波と100HzのSin波をそれぞれ単独で鳴らしても30Hzの方がピーク電圧が低いですし、ハイパスフィルターに引っかかってカットされてるような動きに見えます。
フィルタのAC特性だけでなくて、出力波形もかなり実測に近くなります。

Audio Out回路のシミュレーション結果(125Hz矩形波)

Audio Out回路のシミュレーション結果(125Hz矩形波、コンデンサ容量4.7uFに変更)

RasPi 3の実測値(黄色Audio Out、水色PWM信号125Hz矩形波)
かなり良い線行ってますよね。やっぱりコンデンサ容量4.7uFじゃないか?と思うんですけど。
ボードに実装されたコンデンサの容量を測れたら一発でわかるんですけど、ボードを壊してコンデンサを剥がす以外に何か良い方法はないのかなあ。うーん……??
この推測は間違っていて、ケーブルに抵抗が入っていたことが原因でした。その8(2021年6月17日の日記参照)をご覧ください。
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目次: Raspberry Pi
Raspberry Pi 3のAudio Outの残された謎がいくつかあります。
一部は解決しましたが、最後の謎が良くわからないままです。
端的に言えばシミュレーション時間が不足していました。シミュレーション時間を0s〜0.05sではなく1s〜1.05sにしたところ、-500mV〜500mVの間で振れるようになりました
0s〜1sのシミュレーション結果を見ると、数百msかけて負の電圧側に移行していくようですね。
オシロの設定ミスでプローブを繋ぐときの設定(感度x10)になっていて、実測の電圧が10倍に見えていただけでした。実測(400mV)とシミュレーション(500mV)のスケールは合いましたが、電圧は微妙に合っていない点が気になりますね。うーむ。
これはまだ真相がわかりません。未解決です。PWMのDuty比100%を維持したときに減衰する速度が異なります。シミュレーションでも減衰はします(500mV → 450mV程度)。

Audio Out回路のシミュレーション結果(125Hz矩形波を入力に設定)
ですが実測の方がはるかに速く減衰します(400mV → 248mV)です。なんでですの……??
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Raspberry Pi 3のHW PWMは意外と変調速度が速く、最もON/OFFが頻発するDuty比50%にするとこのような波形になります。PWM信号はもっとエッジが急峻だと思われますが、我が家のオシロスコープが測れる帯域(50MHz)の限界に達しており、波形がすっかり丸くなっています。
もっと性能の良いオシロを買えば良いだけですけど、値段が高すぎるんですよね。200MHzを測れるオシロはエントリーモデルTBS 1202Cでも20万円!高すぎでしょ!?10万円超えはホビー向けは高すぎだと思いますし、企業や研究所向けとしてはTBS 1202Cのスペックでは足りないでしょう。誰向けでしょうね?学校かなあ?Tektronixの値付け方針がいまいち理解できません。
メーカーにこだわらなければ同じ予算でもっと良いオシロが買えることは知っています。最近だとRIGOLやOWONが人気なんですかね?テック系のYouTuberが使っているのをたまに見かけます。でも憧れのAgilentやTektronixのオシロ欲しいじゃないですか……。そんなことないですか?
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目次: Raspberry Pi
Raspberry Pi 3のオーディオ出力はHW PWMの出力(矩形波)を何らかのフィルタ回路を通しているのでは?疑問を解決するため、オーディオ出力回路を調べます。
会社のみなさまに回路をシミュレーションするツールLTspiceを教えていただいた(ありがとうございます!)ので、Raspberry Pi 3のSchematics通りに回路を組んで回路シミュレーションをしました。Spiceは聞いたことありましたけど、使うのは初めてです。
私が使っているのはRaspberry Pi 3 model B rev 1.2ですので、rpi_SCH_3b_1p2_reduced.pdfの回路図が該当します。オーディオ出力回路だけ抜粋すると下記のとおりです。

Raspberry Pi 3 model B rev 1.2のオーディオ出力回路
(5/17訂正)
オーディオ出力回路が微妙に違う回路図だった(C58, C60の番号が違う)ので上げ直しました。
前段がRCローパスフィルタ回路、後段がRCハイパスフィルタ回路と思われます。この回路の1ch分をLTspiceで組んでAC特性をシミュレーションしますと、こんな感じになりました。
参考までにゲインが -3dBになる周波数(フィルタのカットオフ周波数)に線を足しています。低いほうが1.7〜1.8Hz辺り、高い方が21〜22KHzくらいに見えます。素人目にはfs = 48KHzのとき再生帯域24KHzですから、発生してはならない不要な高周波を落としているフィルタに見えます。
フィルタのAC特性はわかったので、矩形波を入れたときにどんな波形になるかも見ておきたいと思います。主に回路の入力やシミュレーション方法をミスっていないか確認のためです。初めて使うので、これで合っているのか?と何かと不安なんです……。
V1の設定を変更して12.5kHzの矩形波を出す設定に変えます。RasPiのPWMは変調速度が少なくとも50MHzはありそう(※)なので、立ち上がり立ち下がりは20nsにしています。
(※)PWMで0と1が交互に出力されるであろうDuty比1/2にすると50MHzとオシロ様がおっしゃっているので、変調速度は50MHzだと思うのですが、本当はもっと速いけど我が家のオシロTektronix TBS 1052Bの測定限界(50MHzモデル)を超えていて、正しく測れていないだけかもしれません。
我が家のオシロは信号の周波数20MHz辺りから波形がミミズみたいになって、何が表示されているのかわからなくなるので、HW PWM信号を直接見るのは無理です。仮に正しく表示できても波形から値を読み取るのは困難ですし、波形の正確性は気にしなくて良いのです。
対して実際の出力がこんな感じです。PWMが矩形波に近くなっている中央部分の波形を見ると、オシロの波形とシミュレーションの波形がほぼ同じ波形になっています……よね?

fs = 48kHz, 12kHz Sin波の周波数スペクトル(Raspberry Pi 3)
Rasberry Pi 3のHW PWMはレジスタに設定した値をDuty比だと思ってずっと出力し続けます。最大値(0x800、設定で変えられる)を書き込むとずっと3.3V、0を書き込むとずっと0V、半分の値を書くと3.3Vと0Vを交互に出力します。特に不思議なところはありません。
Raspberry Pi 3のオーディオ出力はPWMのDuty比を100%に固定すると、なぜオーディオ出力が減衰していくのか?が良くわからないままです。以前、ボリューム設定をミスっていたときの波形がわかりやすいです。数カ所でPWM出力がDuty比100%に張り付いていますが、なぜかオーディオ出力は上限値に張り付かず減衰します。

fs = 44kHz, 30Hz Sin波の周波数スペクトル(Raspberry Pi 3)0.4dBゲインあり
LTspiceの過渡応答シミュレーションの結果ではDuty比100%が続いたら0.9Vに張り付いており、減衰するような波形にはなりません。何かシミュレーションをミスっているんでしょうか?それともまだ隠し要素があるんでしょうか……?
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