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2019年6月25日

ノートPCの充電器(代打)

以前、出張先にノートPCのアダプタ(USB-PD)を忘れて帰ってきてしまったことがあります。

我が家のノートPCの電源端子はUSB Type-Cなので、試しにスマホ用の充電器を繋いでみたのですが、うんともすんとも言いませんでした。ノートPCなどUSB-PDで充電する機器は、充電器側もUSB-PDに対応していないと充電が開始されないみたいです。

次のミスに備えて、普段使いの充電器+ノートPCアダプタの代打、が可能なAUKEYのUSB-PD充電器PA-Y12AUKEY PA-Y12のサイト)を買いました。Amazonで5,000円くらいです。

大きさは手のひらサイズくらいですね。端子はType-C + Type-A x 2の3ポートで、出力は合計72W(Type-C: USB-PD 20V 3A, Type-A: 5V 2.4A)ですから、大抵のUSB-PD機器には対応できるはずです。

普段はスマホ(USB type-C)とKindleの充電にしか使っていないので、若干勿体ない感が否めないですが、備えあれば憂いなし。

購入は先月(5/25)で、使用して1か月ほど経っていますが、特に異音や異常もなく元気に動いくれています。良い感じです。

メモ: 技術系の話はFacebookから転記しておくことにした。多少追記。

編集者:すずき(2019/06/26 01:11)

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2019年6月15日

GCCを調べる - その4 - RTL (Register Transfer Language) を眺める

目次: GCC

RTLは(演算子 引数1引数2 ...) という形で表記されます。LispのS式に似ているんですかね?前回(2019年6月14日の日記参照)出力したRTLのうち5番目のinsnを例にとります。

RTL 1つを取り出した状態

(insn 6 5 7 2 (set (mem/c:SI (plus:SI (reg/f:SI 65 frame)
                (const_int -4 [0xfffffffffffffffc])) [1 a+0 S4 A32])
        (reg:SI 104)) "a.c":3 132 {*movsi_internal}
     (nil))

RTLはいくつも種類があり、codeという番号で区別されています。RTLをファイルに出力する際はcodeは名前に変換され、開きカッコの後に書かれます。

先頭のRTLは (insn ... で始まっているので、code = insnのRTLで、その後 (set ... とあるので、code = setのRTLがあるんだな、ということがわかります。上記のRTLに出てくるcodeは、insn, set, mem, plus, reg, const_intの6種類です。

RTLを読んでみる

RTLは引数を取ります。先程の例に出てくるRTLの引数はrtl.defに定義されています。一例を示すと下記のとおりです。

  • insn : uuBeiie
  • set : ee
  • mem : e0
  • plus : ee
  • reg : r
  • const_int: w

例えばsetのeeであればeという種類の引数を2つ取る、という意味です。GCCではRTLの引数をこのように定義します。かなり意味不明だと思いますが、こういうものだと思うしかないです。

さらにeという種類の 引数は別のRTLを含んでOKなので、RTLは入れ子になります。先の例に出てきたRTLを分割してみます。

RTLの引数の切れ目を明示
                     ____________________________________________________________________________________________________________________________________  ________  ______________________  _______
                    | e insn__________________________________________________________________________________________________________   ________________ | i insn  | i insn                | e insn
                    |      | e set      __________________________________________________________________________  _  _______________  | e set           |         |                       |
                    |      |           | e mem     ______________________  _______________________________________ |0 | mem additional  |                 |         |                       |
                    |      |           |          | e plus     _________  | e plus      _________________________  |  |                 |          ______ |         |                       |
         __  __  _  |      |           |          |           | r reg     |            | w const_int               |  |                 |         | r reg |         |                       |
        | u | u | B |      |           |          |           |           |            |                           |  |                 |         |       |         |                       |
(insn 6 | 5 | 7 | 2 | (set | (mem/c:SI | (plus:SI | (reg/f:SI | 65 frame) | (const_int | -4 [0xfffffffffffffffc])) |  | [1 a+0 S4 A32]) | (reg:SI | 104)) | "a.c":3 | 132 {*movsi_internal} | (nil))

途切れ目が非常にわかりにくいです。私も正直ぱっと見ではわかりません。特に引数eは入れ子になっていて、ひたすら見づらいです。RTLの引数の正確な切れ目を知るには、print_rtx_operand_code_e() など、引数のprint関数を見るのが一番早いかもしれません。

RTLの引数の切れ目を見るには

RTLの出力をリアルタイムで見たいときは、gdbでprint_rtl_with_bb() 辺りにブレークを掛けておいて、ステップ実行していくとわかりやすいです。

その際printf系の出力がバッファリングされると、printした文字列がなかなかファイルに出力されません。デバッグ時はprint文と、実際に出力されている文字列の対応が確認しづらいため、最初にsetvbuf() を呼んでバッファリングを無効にしておいたほうが見やすいと思います。

RTLの出力のバッファリングを無効にする

/* Like dump_function_to_file, but for RTL.  Print out dataflow information
   for the start of each basic block.  FLAGS are the TDF_* masks documented
   in dumpfile.h.  */

void
print_rtl_with_bb (FILE *outf, const rtx_insn *rtx_first, dump_flags_t flags)
{
  const rtx_insn *tmp_rtx;

  setvbuf(outf, NULL, _IONBF, 0);  //★★この行を足した★★

  if (rtx_first == 0)
    fprintf (outf, "(nil)\n");
  else
    {
      enum bb_state { NOT_IN_BB, IN_ONE_BB, IN_MULTIPLE_BB };

  //...

あとは観察したいRTLファイルをtail -fとかで追い続ければ良いでしょう。

やっつけ感が満載のGCC

RTLの名前と引数の情報を定義したrtl.defというファイルがあるのですが、これだけを見るといかにも整然としたルールに則っているように見えます。ですが実際は例外だらけで、コードを読んでいるとなかなか辛いものがあります……。

例えば、今回の例で行くとmemの最後に何か([1 a+0 S4 A32] というやつ)出力されていますよね?rtl.defを見るとmemの引数の定義は "e0" なので、"0" の一部だろうと考えたくなりますが、残念ながら、この情報についてはrtl.defには一切記述がありません。これはひどい。

RTLを文字列として出力するprint_rtx() 関数の実装を見ると、最後の方でMEM, CONST_DOUBLE, CONST_WIDE_INT, CONST_POLY_INT, CODE_LABELだけ特別扱いして、特別に出力が追加されます。16進数だと見づらいし、とりあえず出しておこうという感じでしょうか……。

編集者:すずき(2023/09/24 11:47)

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2019年6月14日

GCCを調べる - その3 - RTL (Register Transfer Language) の出力

目次: GCC

GCCの内部情報を出力してみます。GCCのバックエンドはGIMPLEとRTL (Register Transfer Language) があります。

ざっくり言ってC言語(など)→ GIMPLE → RTL → アセンブラの順に変換されます。GIMPLEの内容はまだよく知らないので説明できません……。今回はRTLを見ていこうと思います。

RTLを出力する方法

GCCでRTLを出力するには、コンパイル時に-fdump-rtl-allオプションを付けます。

RTLの出力オプション

$ riscv32-unknown-elf-gcc a.c -fdump-rtl-all

試しに下記のコードをコンパイルし、RTLを出力させると、

サンプルコード(C言語, a.c)

void main()
{
        int a = 1, b = 2, c;

        c = a + b;

        return c;
}

下記のようなRTLが出力されます(GCC-8.3.0での結果)。C言語のファイル名がa.cだとすると、RTLはa.c.NNNr.XXXXという名前で出力されます。NNNは最適化パスの番号、XXXXは最適化パスの名前が入ります。

サンプルコード(RTL, a.c.235r.vregs)

;; Function main (main, funcdef_no=0, decl_uid=1514, cgraph_uid=0, symbol_order=0)

(note 1 0 3 NOTE_INSN_DELETED)
(note 3 1 2 2 [bb 2] NOTE_INSN_BASIC_BLOCK)
(note 2 3 5 2 NOTE_INSN_FUNCTION_BEG)
(insn 5 2 6 2 (set (reg:SI 104)
        (const_int 1 [0x1])) "a.c":3 132 {*movsi_internal}
     (nil))
(insn 6 5 7 2 (set (mem/c:SI (plus:SI (reg/f:SI 65 frame)
                (const_int -4 [0xfffffffffffffffc])) [1 a+0 S4 A32])
        (reg:SI 104)) "a.c":3 132 {*movsi_internal}
     (nil))
(insn 7 6 8 2 (set (reg:SI 105)
        (const_int 2 [0x2])) "a.c":3 132 {*movsi_internal}
     (nil))
(insn 8 7 9 2 (set (mem/c:SI (plus:SI (reg/f:SI 65 frame)
                (const_int -8 [0xfffffffffffffff8])) [1 b+0 S4 A32])
        (reg:SI 105)) "a.c":3 132 {*movsi_internal}
     (nil))
(insn 9 8 10 2 (set (reg:SI 107)
        (mem/c:SI (plus:SI (reg/f:SI 65 frame)
                (const_int -4 [0xfffffffffffffffc])) [1 a+0 S4 A32])) "a.c":5 132 {*movsi_internal}
     (nil))
(insn 10 9 11 2 (set (reg:SI 108)
        (mem/c:SI (plus:SI (reg/f:SI 65 frame)
                (const_int -8 [0xfffffffffffffff8])) [1 b+0 S4 A32])) "a.c":5 132 {*movsi_internal}
     (nil))
(insn 11 10 12 2 (set (reg:SI 106)
        (plus:SI (reg:SI 107)
            (reg:SI 108))) "a.c":5 3 {addsi3}
     (nil))
(insn 12 11 17 2 (set (mem/c:SI (plus:SI (reg/f:SI 65 frame)
                (const_int -12 [0xfffffffffffffff4])) [1 c+0 S4 A32])
        (reg:SI 106)) "a.c":5 132 {*movsi_internal}
     (nil))
(insn 17 12 0 2 (const_int 0 [0]) "a.c":7 240 {nop}
     (nil))

RTLは最適化処理を実行するたびに内容が変わるため、たくさんのファイルが出力されます。上記のRTLはGIMPLEからRTLに変換した後、命令割当のみ行った状態のものです。最適化パス名でいうとvregsというパスが終わった後のRTL です。

長くなってきたので分割します。

編集者:すずき(2023/09/24 11:46)

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