目次: RISC-V
個人で自社製品を買おうとしたらどうすれば良いか?を調べました。NSITEXEのIPで世の中に出ているものは2種類ありますが、Akaria NS31Aという汎用RISC-V 32bit CPU IPを購入します。
CPU IPそのもの(Verilogのコード)を買うのはライセンス契約等が必要で個人ではほぼ不可能なので、CPU IPを試せるFPGAの購入を検討します。
萩原エレクトロニクスがパートナー企業として評価キットを販売してくれています。しかしNSITEXE NS31Aで検索してもかなり下に評価キットのニュースリリースが出るのみで、製品紹介サイトはありません(NSITEXE製RISC-Vコア評価キット発売について - 萩原電気ホールディングス株式会社)。ニュースリリースですといずれ消えるのでは?大丈夫か……?
ニュースリリースにはAkaria NS31AのEntry Kitの特徴は「発売中」と書いてあるものの、買い方が一切書いていません。この時点で興味のあるエンジニアの3割が脱落すると思います。
めげずに読み進めて下の方にある「NSITEXE製RISC-Vコア評価キット製品紹介」というボタンを押すと、チラシがPDFで出てきます。Interface誌にもこのチラシが載っていました(チラシへのリンク)。
チラシを見ても相変わらず買い方がわからないです。あとQRコードだけという仕様も辛いです。PCユーザーを見捨てないでほしいです。この時点で興味のあるエンジニアの6割が興味を失って脱落すると思います。
めげずにスマホを持ってきてQRコードを読むと、良くわからんQAフォームに飛ばされます(お問い合わせ - 萩原エレクトロニクス)。
出た出た!日本の半導体会社の最大の悪癖「営業にご連絡ください」攻撃です。この時点で興味のあるエンジニアの9割が脱落します。上司に言われて仕事で渋々買う人以外は連絡しませんよ。これ。
QAフォームを見ると会社名が必須で「個人の開発者など用はない、去れ」という気持ちがビシビシ伝わりますが、めげずに「個人ですが何か?」とフォームを埋めてメッセージを送信しました。
しばし待ってみましたが、特に確認メールなどは来ないようです。正常に送れたんでしょうか?不安になりますね。今日はいったんここまでです。買い方がわかったらまた続きを書こうと思います。
中国や台湾のメーカーはボード1つでも売ってくれるし、一瞬で注文できるし海を越えても届けてくれるのに、日本のボードは1日で発注にすら至らないし、すごく面倒くさいです。相当の機会損失していると思います……。
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ポッキーの日だそうですが、1(と0)といえば2進数、2進数といえばビット操作ですね(?)。以前 Bit Twiddling Hacks を最新のコンパイラ達に向けて試したときの悲しい結果をメモしておきたいと思います。
試したのはConditionally set or clear bits without branchingという項目で、fがtrueならwとmのビット論理和を、fがfalseならwからmのビットを消去した値を返す処理です。素朴な実装ではif文を使うでしょう。
int cond_set_or_clear1(bool f, int m, int w)
{
if (f)
return w | m;
else
return w & ~m;
}
さきほどのサイトでは最適化版として、条件分岐をなくす、データ依存性をなくす(スーパースカラプロセッサ用)、2つのバージョンを掲げています。まずは条件分岐をなくした版のコードを紹介します。
int cond_set_or_clear2(bool f, int m, int w)
{
return w ^ ((-f ^ w) & m);
}
分岐がなくなっています。なんでこれで同じ動作をするのか?は説明が必要でしょう。fがtrueなら -f = -1となり、-f ^ wはwのビット反転(notと同じ)と同じ結果 -1 ^ w = ~wになります。よって右側の括弧内 (-f ^ w) & m = ~w & mです。
あとは~w & mはw = 0, m = 1のビットだけ1になって残り、あとは全部0になります。w ^ (~w & m) はw | mと同じ結果ですが……そう言われてもわかりにくいので表にします。
| w | ~w | m | ~w & m | w ^ (~w & m) |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 0 | 1 | 0 | 1 |
| 1 | 0 | 0 | 0 | 1 |
| 0 | 1 | 1 | 1 | 1 |
| 0 | 1 | 0 | 0 | 0 |
一方fがfalseの場合、0とみなされるので -f = 0となって、-f ^ w = 0 ^ w = wです。右側の括弧内 (-f ^ w) & m = w & mです。w ^ (w & m) は先ほどとは逆でw = 1, m = 1のビットだけ1になって残り、あとは全部0になります。
最後にwとこの結果をxorすることでwとmがともに1のビットだけ0になりますから、w ^ (w & m) はw & ~mと同じ結果です、が……これも表がわかりやすいでしょう。
| w | m | w & m | w ^ (w & m) |
|---|---|---|---|
| 1 | 1 | 1 | 0 |
| 1 | 0 | 0 | 1 |
| 0 | 1 | 0 | 0 |
| 0 | 0 | 0 | 0 |
次にスーパースカラ版のコードを紹介します。
int cond_set_or_clear3(bool f, int m, int w)
{
return (w & ~m) | (-f & m);
}
これは先ほどよりシンプルです。左側の括弧はfによらず常にw & ~mで一定で、右側の括弧の値だけが変化します。
まずfがtrueなら -f = -1となり、-f & m = mです。(w & ~m) | mですが、w & ~mはwからmの1となっているビット位置を0にする演算でした。そこにmをorすると消えたビットは再び1になります。すなわちw | mと同じ結果です。
| w | m | w & ~m | (w & ~m) | m |
|---|---|---|---|
| 1 | 1 | 0 | 1 |
| 1 | 0 | 1 | 1 |
| 0 | 1 | 0 | 1 |
| 0 | 0 | 0 | 0 |
次にfがfalseなら -f = 0となり、-f & m = 0です。よって (w & ~m) | 0 = w & ~mになります。
なぜスーパースカラ向けか書いていませんが、w & ~mと -f & mに依存性がなくて同時に演算できるからだと思われます。じゃあ全部これでいいじゃないか?と思われるかもしれませんが、演算回数を見ると、
2つ目の方式: w ^ ((-f ^ w) & m) neg, xor, and, xorの4回の演算が必要 3つ目の方式: (w & ~m) | (-f & m) not, and, neg, and, orの5回の演算が必要
このため同時に演算できないプロセッサの場合は2つ目の方式の方が良いと言えます。
ここまで長々と紹介しておいてこんなことを言うのは憚られますけど。この手のビット魔術は面白いのでつい手を出したくなりますが、最近のコンパイラに対しC言語レベルでの最適化はあまり意味がないです。
論より証拠でGCC 12.2.0の結果から見てみましょう。
あれだけグダグダ語った3つ目の方式でしたが、なんと2つ目の方式と全く同じバイナリになりました。
GCCだけでは証拠として不安でしょうか?では次にclang 15.0.0の結果も見ましょう。
なんと3つ目の方式は「これ分岐じゃね?」と解釈されて分岐に戻されてしまいました。これが分岐に見えるclangはスゴイですね。私はこのコードを見ても分岐には見えません……。
1つ目の方式と2つ目の方式が違うバイナリになるところを見る限り、全くの無意味ではないです。しかし見やすさでは大幅に劣ります。基本は素朴なコードにしておき、遅くて困る場合のみビット魔術に手を出すべきでしょう。
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今日は皆既月食と惑星食(天王星)が同時に観測できる非常に珍しい日だそうです。天王星はさすがに撮影できないでしょうけど、月ならなんとか撮れるだろうと思い、三脚とカメラを持って撮影しました。
肉眼で見ると赤くボンヤリとした月に見えます。先日(2022年9月10日の日記参照)撮った、中秋の名月と比較するとかなり暗いです。
まずコンデジでは暗くて写りません。マニュアルで明るさの限界を狙って設定したものの、私の腕と知識では下記の写真が限界でした……。

コンデジ(CASIO EXILIM EX-ZR1300)で撮影
月の左下に天王星らしき点?が写っています。天王星は青いと聞きましたが、あまりに点が小さすぎて良くわかりません。もしかしたらレンズについたゴミかもしれないです。
奥さんの一眼レフでも撮りました。さすがの高解像度&性能ですが、残念ながらレンズのズーム倍率が足りず非常に小さくしか写りません。

一眼レフ(Canon EOS Kiss X10, Canon EF-S 18-55mmレンズ)で撮影
引き延ばしたところボンヤリした写真になってしまいました。世の写真家が撮影したきれいな写真がたくさんあるので、それを眺めることにします。
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目次: 射的
スピードシューティングを始めてから半年ほど経過しました。いよいよ11月末は公式大会(リミティッド - 一般社団法人日本トイガン射撃協会JTSA)です。今までの練習会のタイムをまとめておこうかと思います。
基本的に練習は週1回のみです。たまに練習以外のシューティング系イベントにも行きますが、さほどタイム上達とは関係ないはず。たぶん。
トータルタイムが2種類ある理由は、途中でStage 5の追加が正式発表されたためです。そのため7月まではStage 1〜4の合計(赤い線、右軸)、8月からはStage 1〜5の合計(青い線、右軸)が記録となります。ですが8月以降もStage 1〜4の合計タイムを見たら、今までと比べて上達or停滞が分かりやすいかも?と思い、表示しています。
最初こそ順調に早くなっていますが、ここ2〜3か月は伸びが止まっています、記録は正直だな〜。タイムは80秒台前半、脱・初心者レベル(※)くらいです。もうオジサンだし、あんまり根詰めたり無理するとケガするだけなんで、気楽&気長にやります。
(※)大会の前の公式記録会だと、総合(Hands Up)で84/101位、カテゴリ内(LM)で21/28位でした。
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目次: C言語とlibc
会社でpopenで作った子プロセスが残ってしまうが何とかならないか?という相談を受けて、面白そうだったので取り組んでみました。日記でも残しておきます。コード的には特に機密情報はありません。
マニュアルを読みましょう(Manpage of popen)。少しだけ解説するなら、子プロセスの入出力をパイプ経由で送ったり受け取ったりできるライブラリ関数です。
例えばyesコマンドをpopenで実行すると、出力パイプからはy y y y ... という文字列が読みだせます。
非常に便利なpopenですが、子プロセスが終了するかどうかは子プロセス次第、言い換えれば子プロセスを強制的に終了させる方法がないことが欠点です。
例えば、先ほど挙げたyesコマンドは勝手に終了しないコマンドの代表例です。popen関数を呼んだ親プロセスが終了しても、子プロセスのyesコマンドは終了しないまま残ります。
実はpopen関数は既存のライブラリ関数やシステムコールの組み合わせで実現できます。先にコードを載せましょうか。
/* SPDX-License-Identifier: Apache-2.0 */
#define _GNU_SOURCE
#include <stdio.h>
#include <string.h>
#include <fcntl.h>
#include <signal.h>
#include <unistd.h>
#include <sys/types.h>
#include <sys/wait.h>
void usage(int argc, char *argv[])
{
printf("usage:\n"
" %s cmdline\n", argv[0]);
}
int main(int argc, char *argv[])
{
const char *cmdline;
pid_t pid, pgrp;
int pipefd[2];
FILE *fp;
int r;
if (argc <= 1) {
usage(argc, argv);
return -1;
}
cmdline = argv[1];
printf("cmdline: %s\n", cmdline);
// パイプを作成します。パイプに読み書きするファイルディスクリプタ(pipefd)2つが返されます。
// pipefd[0] が読み出し用、pipefd[1] が書き込み用です。
r = pipe2(pipefd, 0);
if (r == -1) {
perror("pipe2");
return -1;
}
// ファイルディスクリプタをFILE * でラップします。
// popenはFILE * を返すインタフェースなので、それに合わせるためです。
fp = fdopen(pipefd[0], "r");
if (fp == NULL) {
perror("fdopen");
return -1;
}
// 子プロセスを生成します。
// pidには子プロセスの場合は0、親プロセスの場合は子プロセスのプロセスIDが返されます。
pid = fork();
if (pid == -1) {
perror("fork");
return -1;
} else if (pid == 0) {
// child
// 子プロセスを新たなプロセスグループに移します。
// 理由はあとでkillを呼ぶときに親プロセスまで巻き添えにしないようにするためです。
// setpgidを呼ばない場合
// プロセスグループA: 親、子、指定したコマンド
// kill(プロセスグループA): 親も子もコマンドも全て強制終了してしまう
// setpgidを呼んだ場合
// プロセスグループA: 親
// プロセスグループB: 子、指定したコマンド
// kill(プロセスグループB): 子とコマンドのみ強制終了
r = setpgid(0, getpid());
if (r == -1) {
perror("setpgrp");
return -1;
}
// 子プロセスの標準出力を閉じ、パイプの書き込み用ファイルディスクリプタを代わりに使います。
// つまり子プロセスの出力がパイプに書き込まれます。
r = dup2(pipefd[1], 1);
if (r == -1) {
perror("dup(child)");
return -1;
}
// シェルを利用して引数に指定されたコマンドを実行します。
// シェルを利用する理由はpopenと同じ仕様(コマンド引数を1つの文字列で渡す)にしたいからです。
// シェルを挟まない場合は、複数の文字列に分割して渡す必要があります。
r = execl("/bin/sh", "sh", "-c", cmdline, (char *)NULL);
if (r == -1) {
perror("execl(child)");
return -1;
}
// not reach here
return -1;
}
// parent
// パイプから読みだすと子プロセスが標準出力に出そうとした文字列が読める
char buf[10];
memset(buf, 0, sizeof(buf));
fread(buf, 1, sizeof(buf) - 1, fp);
printf("read from pipe: %s\n", buf);
printf("sleep 5\n");
sleep(5);
// 子プロセスのプロセスグループを取得します。
// pidには子プロセスのプロセスIDが返されます。
// forkの部分も参照してください。
printf("getpgid() pid:%d\n", (int)pid);
pgrp = getpgid(pid);
if (pgrp == -1) {
perror("getpgid");
return -1;
}
// 子プロセスのプロセスグループを強制終了します。
printf("kill(SIGTERM) pgrp:%d\n", (int)pgrp);
r = kill(-pgrp, SIGTERM);
if (r == -1) {
perror("killpg");
return -1;
}
// 子プロセスが終了するまで待ちます。
printf("wait child pid:%d\n", (int)pid);
int wstat;
r = waitpid(-pid, &wstat, 0);
if (r == -1) {
perror("waitpid");
return -1;
}
if (r != pid) {
fprintf(stderr, "kill %d but terminated pid %d, why?\n", (int)pid, (int)r);
}
printf("done!!\n");
return 0;
}
そこそこ長いですね。
コードを見ると目がチカチカする方向けにコメントだけ抜き出しました。動きが分かりやすいと思います。
子プロセスはこんな動きです。
親プロセスはこんな動きです。
プロセスの親子関係はこうなります。
|-a.out,536208 yes | `-sh,536209 -c yes | `-yes,536210
もしコマンドがさらに孫、ひ孫プロセスを生成しても、プロセスグループが一緒である限りkillが効くはずです。
今回紹介した実装はpopenの完全な上位互換ではありません。理由としては入力側を扱えないこと、popenのようなAPIとして使えないこと、が挙げられますが、拡張は容易だと思います。
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